親が入院し、面会が制限されていたり、遠方で頻繁に通えなかったりすると、「せめて顔を見て話したい」と考える家族は多いはずです。ただ、高齢の親本人が入院先でネット環境を整えるのは現実的ではなく、申し込むのも届けるのも設定するのも家族になります。この記事では、公的調査で病院のWi-Fi・オンライン面会の実情を確認したうえで、離れて暮らす家族が用意するもの、家族名義で申し込むときの受け取り方、高齢者でも迷わない事前設定のコツを整理します。
この記事の要点(先に結論)
- 患者・来訪者向けWi-Fiを病院全体で提供している病院は18.8%。無線LAN導入病院のうちオンライン面会用に使っているのは36.4%(電波環境協議会2024年度調査)。病院任せにできるとは限らない
- 用意するのは回線(モバイルWiFi)+端末(タブレット推奨)+「電源を入れるだけ」の事前設定の3点
- 申込みは家族名義でできる場合が多い(申込者と利用者が異なる場合の可否は各社規約を確認)。受け取りは自宅受取→持参が確実。病院宛て配送は受付止めが基本
- 期間が読めないので日割り・自動延長のあるレンタルWiFiが向く。ペースメーカー等を装着している場合は、ルーターの置き場所を主治医・病院スタッフに確認
病院のオンライン面会・Wi-Fiはどこまで頼れる?
電波環境協議会(総務省・厚労省等が参画)の2024年度調査(2025年6月公表・回答2,464病院)から、家族が知っておきたい2つの数字を引きます。
| 項目 | 結果 | 出典ページ |
|---|---|---|
| 患者・来訪者が使えるWi-Fiを病院全体で提供 | 18.8%(特定エリアのみ34.3%、提供予定なし36.5%) | p.3 |
| 無線LAN導入病院(2,261件)のうち、無線LANをオンライン面会用に利用 | 36.4% | p.8 |
出典: 電波環境協議会「2024年度 医療機関における適正な電波利用推進に関する調査の結果」
つまり、病院がオンライン面会の仕組みを持っているとは限りません。病院主導のオンライン面会(病院のタブレットで行うもの)では、予約制や時間枠が設けられる場合もあります。「毎日夕食後に5分だけ顔を見る」といった使い方をしたいなら、親の手元に回線と端末がある状態を家族が作るのが確実です。病院Wi-Fiの有無の調べ方は病院のフリーWi-Fi実態と調べ方、病室でスマホの電波が弱いときの対処は入院中スマホが圏外・病室の電波が悪い時の対処法にまとめています。
家族が用意する3点セット
1. 回線:モバイルWiFiを借りる
親のスマホの契約容量やテザリング設定に頼るより、モバイルWiFiを1台置いてタブレット(やスマホ)をつなぐほうが、容量・操作の両面でシンプルです。選び方は後述しますが、ポイントは日割りで借りられて自動延長があること(退院日が読めない)と、病室で入る回線を選ぶことです。
2. 端末:タブレットが扱いやすい
高齢の方には、画面が大きく、操作が少ないタブレットが向きます。親のスマホでもビデオ通話はできますが、着信の取り方や画面の向きで戸惑いやすく、通話中に耳に当ててしまうこともあります。タブレットをスタンドに立てておけば「かかってきたら押すだけ」にできます。手元にタブレットがなければ、NETAGEのようにモバイルルーターと一緒にタブレット(iPad)のレンタルを扱う会社もあります(機種・料金は公式でご確認ください)。
3. 事前設定:「電源を入れるだけ」にして渡す
ここが最も重要です。家族の手元で次を済ませてから届けます。
- ルーターとタブレットのWi-Fi接続を済ませ、自動接続にしておく(病室でルーターの電源を入れれば勝手につながる状態)
- ビデオ通話アプリ(LINE・FaceTime等、家族が普段使っているもの)のアカウント作成、家族全員の連絡先登録
- 着信音を大きめに、画面の文字サイズを大きく、自動ロックを長めに設定
- 手順メモを大きな文字で同封(「緑のボタンを押す」「終わったら赤いボタン」だけに絞る)
- ルーターは電源を入れたままベッドサイドテーブルに置く前提にし、充電ケーブルをつないだ状態で渡す(バッテリー切れで「つながらない」を防ぐ)
- 家族側で通話テストを1回してから届ける
家族名義で申し込むときの受け取り方
レンタルWiFiは申込者(支払者)と利用者が別でも利用できるケースが多いですが、申込時に各社の規約・配送先指定を確認してください。届け先の選び方は次の3通りです。
| 受け取り方 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 家族の自宅で受け取り、面会時に持参 | 面会に行ける距離。設定を済ませてから渡したい | 最も確実。設定・通話テストが手元でできる |
| 病院宛てに配送(対応する会社のみ) | 遠方で持参できない。急ぎ | 受付・総合窓口止めが基本。患者宛の荷物を受け取らない病院もあるので病院に事前確認。事前設定ができないため、看護師さんや同室の方に頼れない場合は不向き |
| 親の自宅に配送し、見舞いに行く親族が持参 | 近くに親族がいる | 設定はその親族に頼む必要がある |
NETAGEは入院向けページで病院宛て配送を案内しており、ほかにも多くのレンタル会社が病院宛の配送に対応しています(受け取り可否は病院側のルールによります)。受け取り・返却の一般的な流れは受け取り・返却ガイドをどうぞ。
レンタルWiFiの選び方(オンライン面会向け)
- 容量: ビデオ通話は動画視聴と同程度の通信量です。1日数十分の通話なら容量制プランでも収まりやすいですが、テレビ代わりに動画も見るなら無制限〜100GBが安心です。容量の考え方は容量で選ぶWiFiを参照
- 期間: 日割り+自動延長のある会社(退院が延びても止まらず、早まっても無駄が少ない)
- 回線: 病室で入る回線を。同室の方や見舞い時に別キャリアのスマホで電波を見比べ、docomo回線が強い病院ならドコモ回線対応のサービスを
- 同時接続: タブレット+親のスマホの2台程度なら、多くのレンタルWiFi機種で対応できます
| サービス | 料金例(いずれも税込) | オンライン面会で見るポイント |
|---|---|---|
| NETAGE(ネットエイジ) | FS040W(完全無制限)1日495円/31日まで6,930円、FS045W(100GB/月)31日まで6,380円 | 初期費用・事務手数料0円・自動延長・回線を選べる。タブレット(iPad)レンタルあり。自宅・ホテル・会社・病院を配送先に指定可(空港カウンター等は不可) |
| WiFiレンタルどっとこむ | U3(docomo・月30GB)1日2,070円/30泊31日6,165円、完全無制限は1日960円/30泊31日9,275円 | 大手。自動延長。docomo回線のU50(1日1,320円/30泊31日15,800円)も |
| WiFiレンタル屋さん | 601HW(20GB/月)1日390円/1ヶ月パック5,850円(税込) | 入院向け定番機の1ヶ月パック。病院受取に対応。延長はWeb手続き。往復送料1,100円は別 |
料金は変動するため申込前に公式でご確認ください。3社の詳しい比較は入院中のレンタルWiFiおすすめと選び方【完全ガイド】、費用感は入院用WiFiの料金相場にまとめています。
高齢の親の入院ならではの注意点
医療機器(ペースメーカー等)との距離
総務省の指針(「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器等へ及ぼす影響を防止するための指針」)では、スマートフォン・携帯電話を植込み型医療機器の装着部位から15cm程度以上離すこととされています。ただしこの15cmは携帯電話端末についての目安で、モバイルルーターにそのまま当てはめられるとは限りません。ルーターの置き場所は、植込み型医療機器の取扱説明書を確認し、主治医・病院スタッフ(必要ならレンタル会社)に相談したうえで、院内で指定された場所で使ってください。
病棟のルールと通話の場所
携帯電話の使用が禁止されている場所ではルーターも使えません。「通話は談話室で」という病院も多いので、ビデオ通話をどこでしてよいかを事前に確認しましょう。詳しくは入院中のポケットWiFi利用ルールをご覧ください。
「つながらない」ときの連絡手段を決めておく
高齢の親がタブレットの不調を自力で直すのは難しいため、つながらないときは固定の病棟電話や看護師さん経由で連絡してもらうなど、代替の連絡手段を決めておくと安心です。ルーターの電源が切れていないか・充電されているかは、見舞い時や電話で確認する習慣にしましょう。
まとめ
- 病院のWi-Fi・オンライン面会は病院ごとに差が大きい(病院全体で提供される患者用Wi-Fiは18.8%、無線LAN導入病院のオンライン面会利用は36.4%)
- 家族が用意するのは回線+タブレット+「電源を入れるだけ」の事前設定
- 申込みは家族名義でできる場合が多い(可否は各社規約を確認)。受け取りは自宅受取→持参が確実、病院宛ては事前確認
- 日割り・自動延長・回線を選べるレンタルWiFiが向く。ペースメーカー等の装着者がいる場合、ルーターの置き場所は主治医・病院スタッフに確認
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