入院中、病室に入った途端にスマホのアンテナが1本になった、通話が途切れる、動画が読み込まれない——。「病室の電波が悪い」「圏外になる」は入院中の相談で非常に多い困りごとです。この記事では、病室で電波が悪くなる理由を公的調査で確認したうえで、今すぐ試せる対処、それでもダメなときに回線を変える判断手順、そしてレンタルWiFiで解決できるケース・できないケースを整理します。

この記事の要点(先に結論)

  • 病室の電波が悪いのは珍しいことではない。66.9%の病院に「携帯電話がつながりにくいエリア」がある(電波環境協議会 2024年度調査・回答2,464病院)
  • まず試すのは機内モードのオン→オフ、窓際、4G固定、病院Wi-Fi、動画の画質を下げるの5つ
  • モバイルWiFiルーターはスマホと同じ携帯電波を使う。同じキャリアのルーターを借りても改善しにくい(端末の対応バンドや置き場所で結果が変わることはある)。効果を期待しやすいのは「別の回線」を試せるとき
  • つながる回線を確認したら、回線を選んで借りられるレンタルWiFi(docomo・au・SoftBank・WiMAX・楽天・クラウドSIM)や、回線が自動で切り替わるクラウドSIM機が選択肢

なぜ病室では電波が悪くなるのか

3分の2の病院に「つながりにくいエリア」がある

「うちの病院だけ電波が悪いのでは」と思いがちですが、実態は逆です。総務省・厚生労働省と連携して医療機関の電波利用を調査している電波環境協議会の2024年度調査(2025年6月公表・回答2,464病院)では、次の結果が出ています。

調査項目結果
院内に携帯電話の電波がつながりにくいエリアがある66.9%
携帯電話の屋内基地局等を病院全体をカバーするように設置12.6%
一部のエリアをカバーするように設置19.4%
今後設置する予定3.4%
屋内基地局等を設置する予定はない64.5%

出典: 電波環境協議会「2024年度 医療機関における適正な電波利用推進に関する調査の結果」 p.2

つまり、3分の2の病院で「電波が入りにくい場所」が報告されており、屋内基地局等を「設置する予定はない」と回答した病院も64.5%あるということです。病室で電波が悪いときは、スマホや契約だけでなく、建物の構造・病室の位置・キャリアの差を疑ってみる価値があります。

建物の構造が電波を遮る

病院で電波が届きにくくなる主な理由は、建物の構造です。

  • 厚い鉄筋コンクリートの壁・床: 大規模な病院ほど壁が厚く、外の基地局からの電波が減衰しやすい
  • 電磁シールド: 医療機器を外来ノイズから守るため、検査室・手術室周辺などにシールド構造を採用している病院がある
  • 奥まった病室・低層階・地下: 窓から遠い部屋、隣の建物に囲まれた低層階は電波が回り込みにくい
  • 高い周波数帯ほど遮られやすい: 5Gの高い周波数帯や、2.5GHz帯中心のWiMAXは、700〜900MHz帯(いわゆるプラチナバンド)に比べて屋内で弱くなりやすい

同じ病院でも「デイルームでは入るのに、大部屋の窓から遠いベッドでは圏外」という差が出るのはこのためです。病院全体のWi-Fi事情については病院のフリーWi-Fi実態と調べ方で詳しく整理しています。

今すぐできる対処法5つ(スマホ側)

まずはお金をかけずに試せる対処からです。上から順に試してください。

1. 機内モードをオン→10秒後にオフにする

電波の弱い場所で長時間いると、スマホが遠くの弱い基地局をつかんだままになることがあります。機内モードを一度オンにして10秒ほど待ってからオフに戻すと、その場で一番強い基地局・周波数帯につなぎ直します。再起動でも同じ効果があります。

2. ベッド周りで「入る場所」を探す

病室内でも数十cm動かすだけでアンテナ表示が変わることがあります。窓際・窓に近いベッドサイドテーブルの上、廊下側の扉付近を試し、スマホ(やWiFiルーター)を置く定位置を決めましょう。ルーターは金属製のロッカーやベッド柵の内側を避け、できるだけ高い位置に置くと安定しやすくなります。

3. 5G優先を「4G(LTE)固定」に切り替える

5G対応スマホは、弱い5G電波を優先してつかもうとして不安定になることがあります。設定から優先ネットワークを4G/LTEに固定すると、屋内に届きやすい4Gで安定する場合があります(iPhone: 設定→モバイル通信→通信のオプション→音声通話とデータ→「4G/LTE」。Androidは機種により「優先ネットワークの種類」等)。退院後は元に戻すのを忘れずに。

4. 病院の患者用Wi-Fiに接続する

電波環境協議会の同じ調査では、患者・来訪者が使えるWi-Fiを提供している病院は53.1%(病院全体で使えるのは18.8%、特定エリアのみが34.3%)です。病室で使えなくてもデイルームや談話室では使えることが多いので、入院案内やナースステーションで確認しましょう。時間制限(例: 6時〜21時)や1回あたりの接続制限がある病院もあります。調べ方は病院のフリーWi-Fi実態と調べ方にまとめています。入院先に患者用Wi-Fiの案内があるかは、当サイトが218病院の公式サイトを確認した病院の患者用Wi-Fi一覧で事前に調べられます。

5. 通信量の少ない使い方に切り替える

電波が弱い状態でも、通信量を抑えれば使える場面があります。動画は画質を最低に落とす、電波が入る場所(デイルーム・病院Wi-Fi)でオフライン再生用にダウンロードしておく、ビデオ通話は音声通話やメッセージに切り替える、といった工夫で「途切れる」ストレスをかなり減らせます。

それでもダメなら「回線を変える」を検討する

上の5つを試しても改善しないなら、建物の中でも届いているキャリアの回線に切り替えるのが次の一手です。ここで押さえておきたいのが、次の原則です。

モバイルWiFiルーターは、スマホと同じ「携帯電話の電波」を使う。 いま使っているキャリアが病室で圏外なら、同じキャリア回線のルーターを借りても改善する可能性は低い(端末の対応バンド・アンテナ性能・置き場所で差が出ることはある)。効果を期待しやすいのは「別の回線」を試せるとき。

たとえばSoftBank回線のスマホが病室で圏外なら、SoftBank回線のレンタルWiFiを借りても解決しにくいのが一般的です。反対に、同室の方のdocomoスマホが普通に使えているなら、docomo回線のルーターで改善する可能性があります。ただし端末の対応バンド・置き場所・プランで結果は変わるため、申込前に「その回線に固定されるプランか」を確認してください。

ステップ1: 病室で入る回線を確かめる

一番確実なのは、別キャリアのスマホでベッド周りのアンテナ表示を見比べることです。同室の方、見舞いに来た家族、付き添いの方などのスマホで、docomo・au・SoftBank(楽天モバイル)のどれが入るかを確認します。誰にも頼めない場合は、ナースステーションに「この病棟でつながりやすいキャリアはありますか」と聞くと、経験則で教えてもらえることがあります。

ステップ2: 回線に合わせて手段を選ぶ

状況有力な手段
特定のキャリアだけ入る(例: docomoだけ入る)その回線を指定して借りられるレンタルWiFi。docomo回線なら入院用WiFiのドコモ回線対応サービスを参照
どのキャリアも弱いが、場所によりまちまち電波状況に応じて回線が自動で切り替わるクラウドSIM機(回線の指名はできない)。詳しくはクラウドSIMとWiMAXの違い
病院Wi-Fiが病室まで届いているまずは病院Wi-Fiを使い、容量・時間制限がつらければレンタルWiFiを併用
どの回線も完全に圏外建物側の問題のため携帯電波での解決は難しい。デイルーム等の「入る場所」を拠点にする・病院に相談する

WiMAX(2.5GHz帯中心)は屋内で届きにくいことがあるため、病室用途ではまず大手3キャリアの4G/LTEが入るかを優先して確認し、5Gは病室で安定して入る場合の選択肢と考えるのが無難です(入院用WiFiレンタル完全ガイドでも同じ考え方で機種を選んでいます)。

回線を選んで借りられるレンタルWiFi

「病室で入る回線」がわかったら、その回線の機種を扱うレンタルWiFiを選びます。回線の選択肢が広い主なサービスは次のとおりです(取扱回線は各社の掲載情報にもとづきます。在庫・料金は変動するため申込前に公式でご確認ください)。

サービス選べる回線(例)特徴
NETAGE(ネットエイジ)SoftBank・docomo・au・WiMAX・楽天モバイル・クラウドSIM回線の選択肢が広い。同じFS040W/FS030Wでも回線違いのプランがある。入院向けページで病院宛て配送も案内
WiFiレンタルどっとこむSoftBank・docomo(U50)・WiMAX・クラウドSIM大手。コンビニ・空港など受取返却の選択肢が多い
WiFiレンタル屋さんSoftBank・docomo(FS050W)・WiMAX店頭(秋葉原)受取や1ヶ月パックあり

docomo回線に固定して借りたい場合の具体的な機種・料金は入院用WiFiレンタルはドコモ回線が安心?、入院全体の選び方(容量・送料込み料金・病院受取)は入院中のレンタルWiFiおすすめと選び方にまとめています。料金の目安は入院用WiFiの料金相場をどうぞ。

ネットエイジ(NETAGE)で回線別の機種を見る → WiFiレンタルどっとこむで料金を見る →

※公式サイトへ移動します。料金・在庫は変動するため最新情報をご確認ください。

借りる前に確認したいこと

  • 回線を間違えない: 病室で入ると確認したキャリアの回線プランを選ぶ(同じ機種名でも回線違いのプランがある)
  • 病院で受け取れるか: 病院宛て配送に対応していても、病室まで届くとは限らない。受付・総合窓口止めが基本なので、病院側にも確認する
  • 返却・延長: 退院日が延びても困らないよう、自動延長やWeb延長の有無を確認する(受け取り・返却ガイド)
  • 利用ルール: 病院・病棟の携帯電話利用ルールを守る(次項)

やってはいけないこと・注意点

使用禁止エリアではルーターも使えない

WiFiルーターは携帯電話と同じ電波を出すため、携帯電話の使用が禁止されている場所(手術室・ICU・検査室など)では使えません。「病室では使用可、通話は談話室で」のように場所ごとにルールを分けている病院も多いので、入院時の案内を確認しましょう。詳しくは入院中のポケットWiFi利用ルールで解説しています。

医療機器を使っている方との距離

総務省の指針(「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器等へ及ぼす影響を防止するための指針」)では、スマートフォン・携帯電話を植込み型医療機器(心臓ペースメーカー等)の装着部位から15cm程度以上離すこととされています。病院ごとの利用ルールの読み方は入院中のポケットWiFi利用ルールも参照してください。同室にそうした方がいる場合は、ルーターの置き場所も含めて病院スタッフに確認すると安心です。

「電波が弱い=ルーターが悪い」とは限らない

レンタルしたルーターが遅いとき、原因が電波の弱さなのか、容量超過による速度制限なのかで対処が変わります。切り分け方は無制限WiFiが遅い理由と対処を参考にしてください。

まとめ

  • 病室の電波が悪いのは建物側の事情であることが多い。66.9%の病院に「つながりにくいエリア」がある(電波環境協議会2024年度調査)
  • まずは機内モードのオン→オフ/窓際/4G固定/病院Wi-Fi/通信量を減らすの5つを試す
  • モバイルWiFiはスマホと同じ携帯電波。同じキャリアのルーターでは改善しにくいので、別キャリアのスマホで入る回線を確認してから借りる
  • 回線を指定できるNETAGE、docomo U50のどっとこむ、回線が自動で切り替わるクラウドSIM機など、「入る回線」に合わせて選ぶ
  • 使用禁止エリア・医療機器との距離など病院のルールを守る

入院用WiFi全体の選び方や料金相場は、関連記事もあわせてご覧ください。

ネットエイジ(NETAGE)で回線別の機種を見る → WiFiレンタルどっとこむで料金を見る →

※公式サイトへ移動します。料金・在庫は変動するため最新情報をご確認ください。